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【春風読書のお誘い2】サン=テグジュペリ(2)

【春風読書のお誘い2】
「2」としましたが、きのうの書き忘れの追記のようなものです。
『人間の土地』や『戦う操縦士』の巻末の年譜を見る限り、
サン=テグジュペリは操縦士として、
墜落・不時着・水没等、6回ほど遭難しています
(生還しなかった1回を加えると7回)。

会社や軍隊に所属して事故を起こしただけでなく、
自分で購入した2機の飛行機も、
どちらも短期間で大破しているようです。
飛行機そのものの信頼性が低かった時代ではありますが、
よく墜ちて、よく生き延びたものです。
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【春風読書のお誘い3】サン=テグジュペリ(3)へ続く。

でも、それを思えば思うほど、人間の中のある種の人は、
神様か何かは分からないけれど、そんな存在から、
何か特別な役割を背負わされてしまうものなのかな、
という気もします。

彼が生きて飛行機に乗り、更に筆を執り続けたからこそ、
黎明期の飛行機乗りの存在が後世に広く知られ、
ほんのわずかな時期の職業である郵便飛行士
(ほぼ冒険家みたいな時代の)というものを、
歴史にも人の記憶にもとどめたりするわけです。

どれだけ墜落しようが遭難しようが、
体に重い後遺症が残ろうとも、また飛行機に乗り、
歴史の最先端に飛び出していくサン=テグジュペリ。

空の上で、水の底で、砂漠の上で、戦場で、
蓄積された哲学が、祖国がファシズムの国に占領され、
望みを託した民主主義は形骸化していたことに気づいた後に、
彼なりの答えを見出すことになったのでしょうか。
その発露の一つが『星の王子さま』だったと思います。

『戦う操縦士』と『星の王子さま』はセットのようなもので
(他の本も陸続きなのですが)、
これらの本から色々なことが読み取れます。

フランスが占領された後、
親ドイツ政権と反ドイツの亡命政権の間で仲違いする
祖国の人とは一線を画して一人で戦おうとしたような
形跡が見受けられます。

どちらのフランス人からも称賛され非難され、
それでも一人でより高く、
より大きなものに向かっていったように思うのですが、
それを何か単語で表そうとすると、
どうも陳腐な表現に思えるのでうまく伝えられません。

多分、今の世の中の状況と同じような感じなのです。
民主主義も基本的人権も、権利や義務も何もかも、
そうではあるけどもうちょっと大切な何か。。。
もうちょっと根本的な何か。。。

『星の王子さま』を書き上げてすぐに、
サン=テグジュペリはフランス軍に身を投じ、
偵察飛行の任務で消息を絶つのですが、
それはきっと彼にとっての完成だったのだろうな、
と思います。

まるで、帰るべき時に自ら時期を定めて
星に帰った王子さまのような最期です。

つくづく人間の一生の不思議さを感じます。

※冒頭の写真は『人間の土地』の巻末にあった、
宮崎駿の手になるイラスト。
ギヨメもメルモスも、サン=テグジュペリにとって大切な人。
特に、アンリ・ギヨメはサン=テグジュペリが
最も好きだったっぽい飛行機乗りです。
同時代における最も優れた飛行機乗りの一人
と言われる人だそうですが、
彼の名も功績もサン=テグジュペリの著作によって
不朽の名前となったのかもしれません。
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プロフィール

春風~はるかぜ~

Author:春風~はるかぜ~
春風珈琲。コーヒー好き。コーヒーが生まれる場所を見たくてエクアドルのコーヒー生産者に会いに行き、ご近所の生産者のことが気になり始める。フェアトレードって途上国だけのことなのか。色んなところでコーヒーを淹れて、ゆるやかな時間を作ります。出会った人達の商品を紹介中。歴史と京都と町家も好き。京都→長岡京へ遷都しました。

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