沖縄・高江を通り過ぎる

沖縄に行って、
高江にいたのはほんのわずかな時間でしたが、
印象に残ったことを少しだけ書いておきます。

ヘリパッド工事で話題になっている高江を、
気楽な観光客として自然な形で通り過ぎるために、
高江を貫く県道沿いの朝日家さんに宿を決めました
(実際に気楽な観光客でしたが)。

最初に宿に向かう前、
名護からの道中でマングローブ林を見て回り、
ランチをして高江に。

県道から脇道に逸れ、細い道を恐る恐る、
「N‐1裏」と呼ばれるテントに迷い込むようにしてたどり着きました。
行ってみると、そこには留守を預かる女性が一人。
尋ねてみると他の人は山の中に入って活動している、とのことでした。
恐らく、この女性には何も分かっていない
興味本位の観光客が侵入してきた、
という風な警戒感を与えていたと思います。

それでも、テントの中を少し写真を撮らせてもらったりするうちに、
高江の現状を解説して下さいました。
政府側の狙い、それを阻止するための活動、
今最大の焦点はどこなのか、地図を前に講義のように。
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「今日のことをFBでもツイッターでも何でもいいから
他の誰かに伝えることは、ここへ来たあなたがたの義務です」

そう高々と、
教師が生徒に宣言するような口調で最後に言われたのが、
最大の印象として残りました。

わざわざここまでやって来るような物好きに、
敢えてそうまで言う必要があったのかどうかは疑問ですが、
彼女にとってはそうとでも言わざるを得ない
鬱勃としたものがあったのだろうな、
と思い黙ってその場を後にしました。

その後、宿へ向かうために再び県道へ。
しばらく車で走ると交通規制が。
片側交互通行の先に「N-1表」と呼ばれる
県道沿いのテントを横に見て通り過ぎました。

通り過ぎながら、この道沿いのテントに行くためには、
どこで車を停めて向かえばいいのだろう?
と考えていました。

テントの周りには、
マスクとサングラスをした、いかつい機動隊の方々と
警察車両も並び、同行者は驚きと恐怖と興奮の表情。
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気持ちを落ち着かせるために、
その日はそのまま走り過ぎて、
ヤンバルクイナの展示施設を見学。

宿である朝日家さんに着き、楽しい一夜を過ごし、
翌朝も楽しい時間を過ごしたのは先日書いたとおりです。

宿を出る前、主の安次嶺さんが、
「今日はどこへ行くの?」と聞いて下さったので、
「もう一回、高江を通って行こうと思ってます。
通り過ぎるだけになるかもですけど・・・」
と答えたら、
「高江のこと思ってくれてありがとう~」
と優しい言葉が。

前の晩にも高江を通った時のことを少しお話はしていたのですが、
地元の人からただ通り過ぎるだけでお礼を言われてしまうと、
ちょっとやっぱり少しでも行こうという気持ちにもなります。

そんなわけで、
その日は朝日家さんとは反対側の海側にある古宇利島に行くのに、
ほんの少し遠回りになるけれど、高江経由の行程に決定。

高江の県道沿いの様子は前日に察しがついたので、
少し気持ちを落ち着けて。

騒動の中心地は、やはり多くの警察車両が。
交通整理の矢面に立つのはお巡りさんではなく警備会社の方々。
慎重に車を走らせつつ、
この道は駐車禁止区間なのかそうでないのか、
転回禁止の標識は出ているかどうか、
道路交通法上の障害があるのかないのかを観察して移動。

同行者も少しだけでも座り込みに参加したいとのことで、
車を一時的に停めておいても摘発の対象にはならなさそうだ
との判断もした上で車を停め、テントの辺りに向かうことにしました。

旅の空の下でもあり、
レンタカーに何かあって旅行ができなくなるのも困るし、
その他もろもろを慎重に判断する必要もありました。

「N-1表」のテントの周りは、
前日訪れたテントとは違い、とてもフレンドリーな雰囲気。
車椅子で来訪者にいちいち挨拶と説明をして下さった方も
とても丁寧だし、座っていると「お水いかがですか?」
と声をかけてくれる人や、
「ここに椅子があるから使いなさい」
と折り畳みいすを貸してくれる方も。
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本当は警備会社の人や、
警備のお巡りさんとおしゃべりできないかなあと
様子を窺っていたのですが
(大体こういうところに行くと、そういう人とおしゃべりします)、
今回はそういう雰囲気ではなかったので、
取材に来ていた琉球新報の記者の方に話しかけました。

前日に、ちょうどランチ時に琉球新報を読んで、
読者投稿欄に衝撃を受けていたのでそのことを。
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それから、沖縄の新聞は「偏向報道」と言われるけれど、
公明正大だけではなくて、
自分の意見を主張できるのが本来の新聞だから
あなたの会社はごくごく真っ当だ、
ということをお伝えしたのでした。

結局座り込みには1時間もいることなく、
立ち去ることにしました。
車椅子の方にも無作法をお詫びしたところ、
「いえいえ、わざわざわありがとうございました」
と丁重にお礼を言っていただきました。

いえ、心の中では
「たったこれだけの時間で帰ってしまうのか」
と思われても仕方がない中途半端な来訪なのに、
丁重にお礼をして下さるということに、
ただただ申し訳ないやらありがたいやら、というところでした。

今回の沖縄は、
同行者の日頃のお疲れを癒すのが最大の目的だったので、
高江で過ごしたのはほんとうにわずかな間のことでした。

そして、僕の目的は同行者が怖い思いをすることなく、
自身の関心のあるものにできるだけ近付けるようにすることでした。

行きたい場所へ全て連れて行くために、
レンタカーに傷をつけないということ、
職務質問等で怖い思いをさせないようにするということ、
あれやこれや全部叶えるということはなかなか骨の折れることなのです。

だから、
これだけの字数を費やしても何かを伝えられるわけではありません。

でも、高江を愛する人達は、その愛が深いほど、
穏やかに他人に愛情を表現できる人達なのかなあと感じたりはしました。
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プロフィール

春風~はるかぜ~

Author:春風~はるかぜ~
春風珈琲。コーヒー好き。コーヒーが生まれる場所を見たくてエクアドルのコーヒー生産者に会いに行き、ご近所の生産者のことが気になり始める。フェアトレードって途上国だけのことなのか。色んなところでコーヒーを淹れて、ゆるやかな時間を作ります。出会った人達の商品を紹介中。歴史と京都と町家も好きで、今熊野で町家暮らし。

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